第2【事業の状況】

 

1【業績等の概要】

(1)業績

 当事業年度におけるわが国経済は、期前半にはアジアを中心とした輸出の増加と在庫調整の進展により、国内景気にも一部持ち直しの動きが見えましたが、後半には米国経済の先行き懸念や株式市場の低迷などにより、その回復基調にも翳りが見え、加えてイラク・北朝鮮情勢の緊迫化から来る不確実性の高まりと世界的な株価の低迷により需要の下押し懸念が高まるなど、企業を取り巻く環境は依然として厳しい状況で推移しました。

 当社の関係いたします業界につきましても、期前半には一部に在庫の一巡による需要回復の兆しが見られたものの、引き続き世界的な市場低迷の影響を受け低調でありました。

 このような状況のなか、当社は引き続き高付加価値新製品の開発と新事業の早期立ち上げに注力して売上の確保を図るとともに、設備投資の見直しや経費削減を行い、また海外の生産拠点の最適活用によるコスト競争力の強化を図ることにより利益確保を図ってまいりました。さらに抜本的な利益対策として、海外拠点とのセグメント別経営を目指す新たな経営の枠組みの構築を図ってまいりました。

 この結果、当期の業績は、売上高29,003百万円(前期比15.4%減)、経常利益207百万円(前期経常損失142百万円)、当期純利益80百万円(前期純損失739百万円)となりました。

 

 事業部門別の業績は次の通りであります。なお、当事業年度より、従来は「その他」に分類しておりました高密度実装事業を「映像用電子機器」に移行しております。

(腕 時 計)

 腕時計につきましては、引き続き需要の低迷と供給過剰により価格競争が激化するなか、更なる生産合理化と間接部門のシステム改善等の合理化を推進し国内での生産維持を図ってまいりましたが、完成腕時計は生産の海外全面シフトを余儀なくされました。一方ムーブメントにつきましては、国内の合理化、生産の集約が順調に進み、堅調に推移いたしました。

 以上により、腕時計部門の売上高は10,009百万円(前期比14.2%減)となりました。

(水晶振動子)

 水晶振動子につきましては、期前半には一部に市況回復の兆しもありましたが、全般には世界的な供給過剰と生産のグローバル化による単価の下落に見舞われ、加えて数量も伸び悩みました。音叉型水晶振動子は、全体として需要の低迷するなか、時計用は堅調に推移しました。また、今後の通信市場におけるシェアアップを図るため、超小型・高精度タイプ製品の開発と製品拡充を行いました。高周波水晶振動子は、中国のローカルメーカーの台頭によりいっそうの価格下落と受注の減少に見舞われるなか、通信及び車載市場向け製品の拡充と生産体制の強化を図るとともに、市場価格に対応するための徹底したコスト削減を行いました。

 以上により、水晶振動子部門の売上高は8,528百万円(前期比1.1%減)となりました。

(映像用電子機器部門)

 映像用電子機器につきましては、電子ビューファインダーは強誘電液晶デバイスを搭載した液晶ビューファインダーが着実に伸びてまいりましたが、未だCRT方式の減少を補うには至らず、売上高は減少いたしました。液晶バックライトもAV機器向けの製品を主体に拡販を進めてまいりましたが、世界的な景気後退による需要低迷の影響を受けました。CCD/CMOSイメージセンサにつきましては、前半は携帯電話市場の低迷と次世代機種への切り替えにあたって受注は減少しましたが、後半はカメラ付携帯電話市場の本格的な立ち上がりを受け大幅に売上を伸ばしました。強誘電液晶デバイスは市場参入の遅れはあるものの売上に寄与いたしました。

 以上により、映像用電子機器部門の売上高は9,849百万円(前期比24.5%減)となりました。

(そ の 他)

 その他につきましては、機械装置販売は全般的な市況低迷と中国を中心とした海外への生産シフトによる国内設備投資の減少の影響を受けました。

 以上により、その他部門の売上高は615百万円(前期比35.3%減)となりました。

(2)キャッシュ・フロー

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期において実施いたしました希望退職者募集に伴う特別退職金等の支払いがありましたが、受取配当金が増加したこと、および法人税等が還付されたこと、並びに設備投資額が大きく減少したこと等により、前事業年度末に比べ696百万円増加し、当事業年度末には2,724百万円(前年同期比34.4%増)となりました。

なお、当期中における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動の結果得られた資金は1,485百万円となり、前年同期に比べ13百万円増加(前年同期比0.9%)いたしました。この増加は、特別退職金等の支払いがあったものの、受取配当金が増加したこと、並びに法人税等の還付金があったためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動の結果使用した資金は254百万円となり、前年同期に比べ1,828百万円減少いたしました。これは主に、強誘電マイクロ液晶ディスプレイ等の新規事業に係わる設備投資が一巡し投資金額が大幅に減少したこと、及び投資有価証券の売却収入があったためであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  当事業年度において財務活動の結果使用した資金は522百万円(前年同期は484百万円の調達)となりました。これは、短期借入金の返済を純額で400百万円(前年同期は純額で650百万円の調達)実施したこと、及び配当金等の支払いによるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当事業年度より、従来は「その他」事業部門に分類しておりました高密度実装事業を「映像用電子機器」事業部門に移行いたしました。下記の生産実績、受注実績及び販売実績における「その他」及び「映像用電子機器」の前年同期比は、それぞれ前事業年度分を変更後の区分に組み替えて算出しております。

(1)生産実績

 当事業年度の生産実績を事業の部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門別

第75期

(自 平成14年4月1日

至 平成15年3月31日)

前年同期比(%)

腕時計(千円)

9,974,629

△14.5

水晶振動子(千円)

8,461,803

△1.6

映像用電子機器(千円)

9,893,294

△23.2

その他(千円)

615,975

△35.3

合計(千円)

28,945,701

△15.1

 (注) 金額は販売金額で表示しており、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注実績

 当事業所における受注実績を事業の部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門別

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

腕時計

9,587,154

△16.2

2,031,900

△17.2

水晶振動子

8,102,844

△5.1

1,828,488

△18.9

映像用電子機器

10,187,451

△10.9

2,659,788

14.6

その他

518,273

△39.5

30,000

△76.5

合計

28,395,722

△9.8

6,550,176

△8.5

 (注) 金額は販売金額で表示しており、消費税等は含まれておりません。

(3)販売実績

 当事業年度の販売実績を事業の部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門別

第75期

(自 平成14年4月1日

至 平成15年3月31日)

前年同期比(%)

腕時計(千円)

10,009,877

△14.2

水晶振動子(千円)

8,528,010

△1.1

映像用電子機器(千円)

9,849,381

△24.5

その他(千円)

615,975

△35.3

合計(千円)

29,003,244

△15.4

 (注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

第74期

第75期

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

シチズン時計株式会社

19,754,611

57.6

18,328,055

63.2

ソニーイーエムシーエス(株)

4,899,607

14.3

3,381,786

11.7

2.金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

 当社は、創業以来、時代ごとに変化するニーズを直視し、常に時代の先端を行く技術の獲得に努めてまいりました。腕時計製造を通じて獲得した精密加工技術を基盤としてIC実装技術、精密組立技術、薄膜形成技術、真空封止技術等の固有技術を確立し、今日の産業界にとって欠くことのできない水晶振動子や映像電子デバイスの分野へと製品領域を拡大してまいりました。今後も通信やデジタル家電市場で、蓄積した固有技術をさらに発展・融合させ、通信向けの水晶振動子・発振器、光通信関連の小型・薄型デバイス、液晶バックライト、携帯電話用CCD/CMOSイメージセンサーモジュールやデジタル映像機器向けの強誘電液晶デバイス等の新製品を導入して事業基盤の強化を図るとともに、開発及び営業の強化に経営の軸足を置きつつ、いかなる経営環境下においても継続的な利益成長が可能な体制を築くことが重要な課題と考えます。

 今後の経済環境を見ますと、一部に見られた景気回復の動きもここにきて弱含み、加えてイラク戦争後の国際情勢の不確実性の高まりにより、米国経済の回復にも不透明感が増しております。さらに収束の目途が立たない新型肺炎(SARS)の感染拡大は、中国に多くの生産拠点を持つ日本企業の企業運営に影響を及ぼしつつあり、当面厳しい経済環境が続くものと予想されます。

 このような状況のなか、当社は以下の事項を課題として掲げ、その早期実現を目指しております。

  @海外生産拠点の最適活用とセグメント別経営の推進

国内2拠点、中国2拠点の4生産拠点の役割分担を明確にしてグローバルな生産体制を構築し、さらにセグメント別経営を推進して横割管理型経営から縦割管理型経営への転換を図ることにより、海外生産拠点の最適運営を目指します。

  A新事業及び高付加価値新製品の早期立ち上げ

   当社の次代の収益の柱とすべく注力してまいりました強誘電液晶デバイス事業に加え、同デバイスの生産により培われたLCOSの量産技術を活かしたLCOSの生産受託事業、及び水晶振動子事業では今期より本格生産が始まりますTCXOの早期立ち上げを促進して、収益基盤の拡大を図ってまいります。

 

  B人事制度の再構築と人材育成の強化

   当社を取り巻く長期に亘る厳しい経営環境のもとで今後とも安定した経営を図るための方策として、前期において抜本的な組織体制の見直しと人員のスリム化を行いましたが、限られた人的資源の活用を図るために、既に導入した成果主義に基づく賃金体系の制度改善と、人材育成と従業員のモチベーションのアップに主眼を置いた人材流動化制度等の新たな人事制度体系の構築を図ってまいります。

 また当社は、世界的に環境問題への関心が高まる中、「地球環境の保全が人類共通の最重要課題」と認識し、「次世代に住みよい自然環境を残す為、環境保全活動を全社活動として推進する」ことを定め、“一人一人が環境意識を高め、次世代に住みよい環境を!”とのスローガンのもと、全社一丸となって環境管理活動を実施し、平成11年11月に本社および北御牧事業所において、環境マネジメント国際規格「ISO14001」の認証を取得しました。今後もISO14001の基本理念に添って環境管理の継続的な改善を進めてまいります。