第2【事業の状況】
1【業績等の概要】
(1)経営成績
 当連結会計年度における我が国経済は、期の前半は世界経済が回復するなかで、設備投資や輸出が増加し、個人消費が持ち直してくるなど、国内景気は回復基調を続けていましたが、期の後半より米国や中国を中心とする世界経済が減速傾向となっていることに加え、原油価格の上昇による企業コストの増加や円高などによりそれまで国内景気を牽引してきた輸出や設備投資などが減速を示すなど、景気の先行きが不透明な状況となってまいりました。
 当社グループの関係いたします業界につきましても、上期前半は前期に引き続きデジタル家電市場の活況を受け、電子部品デバイスの需要が好調に推移しておりましたが、上期後半より一部電子部品の在庫増加により受注が弱含み、期末にかけても在庫調整による足踏み状態が続いております。
 このような状況のなか、当社は新製品開発による事業拡大及び営業力の強化に注力するとともに、コスト対応力の強化のために海外生産拠点の体制見直しを進めて最適活用による生産効率の向上に努め、またグループを挙げての経費節減や歩留改善活動により、収益の向上に努めてまいりました。
 この結果、当期の売上高は364億4千7百万円(前期比12.9%増)、経常利益は20億2千8百万円(前期比317.3%増)、当期純利益は11億6千5百万円(前期比387.9%増)となりました。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりであります。
 なお、従来事業の種類につきましては「時計事業」と「電子部品事業」に区分しておりましたが、当連結会計年度より従来の「電子部品事業」を「水晶デバイス事業」及び「映像用電子機器事業」に区分しました。なお前期比については、前連結会計年度分を変更後の区分に組み替えて行っております。
(時計事業)
 時計事業につきましては、完成腕時計はセカンドブランド市場のファッション化志向への対応が出遅れ上期は苦戦を余儀なくされましたが、下期は対策効果が現れました。また普及価格帯に投入した電波時計が収益に寄与をいたしました。ムーブメントにつきましては下期より市場動向の大きな変化による生産調整を受け、非常に厳しい環境下となりました。
 以上により、時計事業の売上高は106億9千4百万円(前期比8.7%増)、営業利益は2億3千4百万円(前期比63.0%増)となりました。
(水晶デバイス事業)
 水晶デバイス事業につきましては、民生用水晶振動子が上期はデジタル家電中心に市場が好調だったこともあり収益を伸ばしましたが、下期はデジタルカメラ・携帯電話等の在庫が増え始め、生産調整が実施されるなど一転して厳しい環境となりました。
 時計用水晶振動子は前期に引き続き堅調に推移した上期に比べ、下期については減速傾向が強くなりました。
 TCXO(温度補償型水晶発振器)につきましては、上期は堅調に推移しておりましたが、下期に入って中国を中心とする携帯電話市場の在庫調整の影響もあり売上は伸び悩みました。
 以上により、水晶デバイス事業の売上高は97億3千1百万円(前期比9.6%増)、営業利益は2億3千6百万円(前期比34.3%増)となりました。
(映像用電子機器事業)
 映像用電子機器事業につきましては、デジタル家電市場向けを中心に上期前半は順調に推移しておりましたが、上期後半からデジタルカメラ市場の減速傾向及び携帯電話市場の在庫調整等の影響を受けました。
 液晶バックライトは、売上を伸ばしていたデジタルカメラ市場が減速するという影響もありましたが、概ね順調に推移しました。電子ビューファインダでは、CRT方式の業務用ビューファインダーがオリンピックに関連した受注が増加し、収益を伸ばしました。強誘電液晶を搭載したビューファインダーはビデオカメラ用が堅調に推移したことに加え、デジタルカメラ市場に投入した新製品が順調に立上がり、大幅に収益を改善しました。CCD/CMOSイメージセンサにつきましては市場競争が厳しい環境下で、OEM事業から自社ブランド事業へのビジネスモデルの転換及び中国を中心とする携帯電話の在庫調整の影響を受け、収益は大幅に減少しました。
 以上により、映像用電子機器事業の売上高は160億2千1百万円(前期比18.1%増)、営業利益は15億2千1百万円(前期比579.6%増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
  当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、期首に比べ78百万円(1.6%)減少し、4,928百万円となりました。
   当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
   当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は2,961百万円(前期比2.2%増)となりました。
  これは主に、税金等調整前当期純利益を2,124百万円計上したこと、貸倒引当金が増加したこと、たな卸資
 産が増加し、売上債権が増加したこと等によるものであります。
 (投資活動によるキャッシュ・フロー)
   当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は2,565百万円(前期比709.6%増)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得に2,337百万円を支出し、長期の定期預金の預け入れに500百万円を支出しこと等によるものであります。
 (財務活動によるキャッシュ・フロー)
   当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は520百万円(97.8%増)となりました。
  これは主に、借入金の返済と配当金の支払いに使用したものであります。
2【生産、受注及び販売の状況】
  当連結会計年度から事業の種類別セグメントを変更したため、前年同期比較に当たっては前連結会計年度分を変更後の区分に組み替えて行っております。
   (1)生産実績
 当連結会計年度の生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
事業の種類別セグメントの名称
当連結会計年度
(自 平成16年4月1日
至 平成17年3月31日)
前年同期比(%)
時計事業
10,686,762
+8.3
水晶デバイス事業
9,913,110
+13.2
 映像用電子機器事業
15,959,629
+14.5
合計(千円)
36,559,501
+12.4
 (注) 金額は販売金額で表示しており、消費税等は含まれておりません。
(2)受注状況
 当社グループの生産品目及び受注形態は多種多様であり、また受注生産の形態をとらない製品も多く、事業の種類別セグメントの受注状況を記載することが困難なため記載をしておりません。
(3)販売実績
 当連結会計年度の販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
事業の種類別セグメントの名称
当連結会計年度
(自 平成16年4月1日
至 平成17年3月31日)
前年同期比(%)
時計事業
10,694,809
+8.7
水晶デバイス事業
9,731,775
+9.6
映像用電子機器事業
16,021,393
+18.1
合計(千円)
36,447,978
+12.9
 (注)1.前連結会計年度および当連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
シチズン時計株式会社
18,416,426
57.1
21,121,353
57.9
ソニーイーエムシーエス株式会社
5,202,886
16.1
5,456,382
15.0
2.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
3【対処すべき課題】
当社グループが対処すべき課題としましては、以下の事項を掲げその達成を目指しております。
 @構造改革3年目の仕上げとしての成果の追求
  ・水晶デバイス事業の製販一体化により管理運営体制の改善を図るとともに、得意領域製品の小型表面実装
    タイプ新製品投入による業容拡大・収益改善を図ります。
  ・時計モジュール事業の国内統合による世界最強の品質・コスト・納期対応力の達成を図ります。
  ・中国拠点は整理統合・新工場建設に伴う管理運営体制を着実なものにしながら、調達・物流等の改革によ
    り世界最強のコスト力を備えた生産拠点を目指します。
 A携帯電話用イメージセンサモジュールの世界No1への挑戦
 益々拡大が見込まれる携帯電話用イメージセンサモジュール市場では、多くのコンペチターと熾烈な高付加価値化、低価格化競争が余儀なくされますが、この状況に迅速な対応をするため、シチズングループの開発力・営業力及び当社グループの製造ノウハウを最大限結集して、世界No1の座に挑戦いたします。
 BLCOSファンドリー事業の早期確立
 当社グループの次代の柱とすべく注力してまいりました強誘電液晶デバイスのビューファインダー事業を軌道に乗せ、同デバイスの生産により培われたLCOSの量産技術を活かし、リアプロTV用LCOSマイクロデバイスのファンドリー事業の早期確立によって業容並びに収益基盤の拡大を図ってまいります。
4【事業等のリスク】
 当社及び当社グループの事業、業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
(1) 携帯電話市場、デジタル家電市場の動向
 当社グループの主力製品は、主に携帯電話、DSC及びDVD等のデジタル家電に使用されております。従いまして、これらの市場の伸びが減速若しくは下降した場合には当社及び当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2) 特定顧客への依存度の高さ
 時計事業につきましては、当社の親会社であるシチズン時計株式会社に100%納品しております。従って、当社及び当社グループの時計事業の業績は、当社親会社の時計事業の業績の影響を直接受けるとともに、当社親会社の時計事業戦略の影響を大きく受けます。
(3)中国生産への依存度の高さ
 当社グループの主力製品である完成腕時計、水晶デバイス、液晶バックライト等の生産は、中国の広州、梧州にて当社グループの総生産量の50%超を生産しております。中国進出は、当社グループが取り扱う製品のコスト競争力の最大化を一つの目的として進出したものですが、中国には、可能性が低くはなったものの、進出企業にとって影響を及ぼす突然の予期しない法律、税制度及び貿易規制等の各種規制の改変等の可能性があります。また、SARS(重症急性呼吸器症候群)や急進的な反日運動が再び蔓延した場合、工場の操業に重大な影響を及ぼす可能性があります。これらの他に、人民元の切上げ等が実施された場合には当社及び当社グループの業績、財務状況に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(4)価格競争
 当社グループの取り扱う製品群の価格競争は非常に厳しく、中でも水晶デバイスは中国ローカルメーカーの台頭が著しく一部の製品については相当厳しい状態が続いております。今後、付加価値の高い製品をタイムリーに市場へ投入し、品質、納期の面でも他社との差別化が図られなければ中長期的に当社及び当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他
 当社グループの取り扱う製品群の技術革新、企業間競争は激しく、将来の消費者ニーズに合った開発及び投資を継続的に実施していかなければなりませんが、当社及び当社グループが予測する将来の消費者ニーズがそのまま現実化する保証はありません。新たな新製品の出現、開発遅れ等が発生した場合は当社及び当社グループの業績、財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。
5【経営上の重要な契約等】
 (1) 当社は、下記の契約を締結しております。
契約締結先
内容
契約期間
シチズン時計株式会社
物品の売買、製作、加工等の継続的取引に関する契約
昭和50年4月1日から昭和51年3月31日まで以降1年ごとの再契約
シチズン時計株式会社
資材等の継続する取引に関する契約
昭和50年4月1日から昭和51年3月31日まで以降1年ごとの自動延長
シチズン時計株式会社
工場用地の賃借に関する契約
平成2年9月1日から30年間
(2) 当社と当社の親会社であるシチズン時計株式会社は、平成17年5月16日に、シチズン時計株式会社を完全親会社とし、当社を完全子会社とする株式交換契約を締結し、同年6月28日開催の当社定時株主総会において同株式交換契約書の承認を受けました。
 詳細につきましては、「第5経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
6【研究開発活動】
  当社グループの研究開発活動は全て当社内で実施しており、子会社においては実施しておりません。
 当社は機動的な企業運営と営業・開発体制の強化により、顧客ニーズに合致した研究開発の成果を早期に市場投入できるよう研究開発を推進しております。開発部では中長期を見据えつつ、営業部門、各事業部門と密接な連携を保ちながら研究開発を推進し、特に小型カメラモジュールの開発、各種センサーの開発、MEMS応用製品の研究開発に取り組んでおります。さらに、長野上田知的クラスター創生事業に参加するなど、先端技術の吸収と蓄積、製品への応用研究にも努めております。また、各事業部門ではこれまでに培ってきた独自技術の応用による周辺製品・周辺事業拡大のための開発を行っております。
 当連結会計期間におきましては、研究開発担当人員は111名、研究開発費の総額は855百万円となっております。
  なお、事業の種類別研究開発活動の状況は、次のとおりであります。
(1) 水晶デバイス事業 
   水晶デバイス部門の低周波振動子におきましては、開発を進めておりました小型SMD振動子の2機種(519タイプ、415タイプ)の量産を開始いたしました。さらに小型化したSMD振動子は工法も含め開発が完了し量産準備を開始いたしました。
 高周波振動子では小型SMD振動子の開発を進めており、お客様へのサンプル提出を開始いたしました。
 水晶発振器におきましては、携帯電話向けのTCXOで小型製品(3225タイプ)の開発を完了し量産化にこぎつけました。また、さらに小型化した製品についても開発を進めております。民生用発振器では小型製品(3225タイプ)の開発を進めております。また、高機能品についても開発・評価を進めております。
 水晶応用デバイス製品では、シチズン時計株式会社の開発によるカーナビゲーション用の水晶ジャイロセンサーの量産化に向けて、加工・組立設備の導入、立上げを完了し、お客様評価用のサンプル提出をいたしました。
 これら水晶デバイス事業に係る当連結会計期間の研究開発費は336百万円であります。
(2) 映像用電子機器事業
  映像用電子機器事業におきましては、電子ビューファインダー関連として強誘電液晶デバイスを使用したデジタルカメラ用ビューファインダーモジュールの低価格品の開発、量産を開始いたしました。さらに、LCOS製造技術を発展させたリア・プロジェクションTV用デバイスのファウンドリー・ビジネスの量産移行に向けた、お客様の高性能要求に応えるための無機材料による垂直配向の開発を進めてまいりました結果、お客様の要求仕様を満足できる製品の生産が可能になりました。
 バックライト関連では、白色LEDを使用して16機種、冷陰極蛍光管を使用して5機種の量産導入をおこないました。引き続き高輝度・薄型に向けての開発を行っております。
 CMOSカメラモジュール関連では携帯電話向けVGAカメラモジュール7機種の量産導入を行い、引き続きモジュールの小型・高画素化(SXGA)対応に向けての開発を行っております。
 これら映像用電子機器事業に係る当連結会計期間の研究開発費は518百万円であります。
7【財政状態及び経営成績の分析】
(1) 財政状態の分析
 @ 資産
   当連結会計年度末における資産の総額は、前連結会計年度末に比べ1,388百万円増加し、26,241百万円となりました。主な要因としては、水晶デバイス事業を中心に実施した総額2,371百万円の新規設備投資に伴い、有形固定資産が前連結会計年度末に比べ984百万円増加したこと等があげられます。
 A 負債
   当連結会計年度末における負債の総額は、前連結会計年度末に比べ505百万円増加し、10,705百万円となりました。主な要因としては、未払法人税等が792百万円増加したこと、借入金の返済により短期借入金が300百万円減少したこと等があげられます。
 B 資本
  当連結会計年度末における資本の総額は、前連結会計年度末に比べ954百万円増加し、15,191百万円となりました。主な要因としては、当期純利益が1,165百万円となり利益剰余金が前連結会計年度末に比べ938百万円増加したこと等があげられます。
(2) キャッシュ・フローの分析 
キャッシュ・フローの分析は、「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」の項目をご参照下さい。
(3) 経営成績の分析 
当連結会計年度における売上高は36,447百万円(4,168百万円増)、売上総利益は5,192百万円(2,372百万円増)、営業利益は1,993百万円(1,449百万円増)、経常利益は2,028百万円(1,542百万円増)、当期純利益は1,165百万円(926百万円増)と、売上、利益ともに前連結会計年度を上回ることができました。 
売上総利益は、時計・水晶デバイス・映像用電子機器の各事業とも売上高を伸ばしたことによる増収効果に加え、映像用電子機器事業において液晶表示機器製品の大幅な収益改善等により、前連結会計年度の売上総利益率8.7%に対して、当連結会計年度は14.2%となりました。 
営業外収支(収益費用の純額)につきましては、金融収支が26百万円、貸与設備関係の収支が39百万円となり、前連結会計年度に対して93百万円増加しました。 
特別利益につきましては、投資有価証券売却益を227百万円計上しておりますが、これは新星工業有限公司株式の売却により発生したものであります。 
特別損失につきましては、関係会社整理損を56百万円計上しておりますが、これは当連結会計年度において連結子会社であった領冠有限公司を清算したことに伴い発生したものであります。 
なお、事業別の分析は、「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (1) 経営成績」の項目をご参照下さい。