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  映像用電子技術の新たな地平へ
−マルチメディアの世紀を先駆けた男たち−
第1話 超小型ブラウン管を開発せよ。
 その年、入社したばかりで、振動子応用機器の開発に関わっていた笹崎幸彦が
「ちょっと田無まで行ってこないか」
と声を掛けられたのは昭和58年も暮れの頃である。
小型CRT開発の話があるから、田無市(現西東京市)にあるシチズンの研究部門で説明を聞き、覚えてこいというのである。出向いたのは4名だったが、いずれも入社して間もない若手ばかり。実を言うと笹崎自身は、すでにそのCRTに使用するパーツ開発ということで、封着技術に関する実験に関係していたこともあり
「あぁ例のことか」
と、漠然とは思っていた。だが、実際に田無市へ出向いて、研究開発スタッフから引き継いだのは、ビデオカメラをターゲットにした電子ビューファインダーそのものの開発だったのである。電子ビューファインダーとは、ビデオカメラの撮影用モニターである。撮像管がとらえた画像を小型CRTに映しだす。当時とすれば、結構値段も張る代物だ。それを、極限までコンパクトにして、ローコスト化しようというアイデアはいい。だが問題はすべて一から作らなければならないことである。0.6インチだろうとCRTはCRTである。専門メーカーですら二の足を踏むものを、初めてトライする技術者にどう解決しろと言うのか。
 ぴくりとも光らない試作物と資料を持ち帰り、研究と試作の日々が始まった。

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