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映像用電子技術の新たな地平へ
−マルチメディアの世紀を先駆けた男たち−

電子ビューファインダーは、あるメーカーの研究所が開発を断念したプロジェクトだという。
「超精密技術に長けたシチズンミヨタなら何とかなるのではないか」
という希望的観測のもとに持ち込まれてきた話なのである。超小型のCRTそのものをどう開発するのか、量産化まで結び付けていくのか。全てが未知であり、開発技術というよりは、基礎研究的な色彩が濃い。
同じく入社したての新人技術者だった中野明彦は言う。
「でも、最初はそう深刻に考えませんでしたね。むしろ未経験だからトライできたとも言えます。」
一方、技術者としてすでに経験を積んでいた三浦昇一郎には、別の感慨がある。シチズンミヨタには、真空技術も封止技術も、巻線技術もある。大変だろうが不可能ではない。それでも
「30過ぎて、一から勉強するのはしんどいなぁという気分はありましたね」
という。
そもそもCRTとは何なのか、である。おおざっぱに言うなら、CRTは、蛍光体を塗ったパネル面に、電子銃から電子ビームを打ち出して走査線を作り、その線の密度によってひとつの画面を作り出していく。そのためには、超小型の電子銃をつくり、偏向ヨークをつくり、パネル面に蛍光体を形成し、CRT内に電子を走らせることのできる雰囲気をつくり、そしてCRTとして封止することが必要である。むろん、これらを電子ビューファインダーとして使用するための回路や機構、外装の開発も必要である。
すべては手探りで始めるしかなかった。 |
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