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映像用電子技術の新たな地平へ
−マルチメディアの世紀を先駆けた男たち−

研究試作段階では、すべて手作りである。CRTを構成する電子銃もスタッフがひとつひとつ自作する。これを蛍光処理をしたパネルと合せ、真空処理をして封止する。これで画像を映しだしてくれれば、ひとまずはOKなのだ。だが実際は、画像どころか、光ひとつ生じない。資料を漁り、実験を重ね、これで良いはずという答えを出しているのに、1000本作っても2000千本作っても駄目。作っては廃棄、検査しては処分という作業が続き、たちまち試作品の山ができ上がった。あまりのことに、スタッフみずから廃棄処分をしに行ったりもした。
だがそうして1年が過ぎた頃、CRTはついに光った。最初に見たのは、検査を担当していた中野明彦である。
「いやになるほどトライしていましたから、感動でした。なにものにも代えがたい気分と言うのはあのことですねぇ。」
とにかくこれでようやく量産を考えられるようになった。追いかけるようにして、三浦昇一郎らが手掛けた電子ビューファインダー開発にも成功。量産化技術に着手するとともに、サンプル出荷までこぎつけたのである。
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