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  映像用電子技術の新たな地平へ
−マルチメディアの世紀を先駆けた男たち−
第6話 常識を覆す発想が傑作機を生み出した。
 トライしたことの一つは、CRTパネルの裏側に施していたアルミ蒸着を止めることだった。  
 通常、CRTでは、輝度を上げるために高電圧をかける。それによって蛍光体が帯電し、いわゆる焼け付きを引き起こすのを防ぐため、蛍光面の裏にさらにアルミを蒸着させているのである。ならば電圧を下げて、アルミ蒸着を止めてしまおうというアイデアだ。  
 誰からともなく「とにかく試してみよう」の声が上がり、実験してみると問題のないことがわかった。輝度も確保できる目処がついた。これだけでも、生産が安定し、歩留りは格段に向上した。
 生産技術は、時にこうした着眼と試行の繰り返しである。少々非常識と思われることも試してみる。平成3年入社の村松正明の頃には、すでにCRT生産技術も成熟していたが、それでも、歩留り向上のための挑戦は続いていた。
 「CRTをずっとやってきた専門メーカーではないから、試行錯誤もしましたし、ようやく実験して導きだしたことが、古い文献に載っているのを発見したこともありました。でもそれが無駄ではないんですね。自分で発見して、自分で確認することは、どんな優れた文献を読むことより役に立つんです。」(村松)
 失敗もまた良薬なのである。
 

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